外構 つまり庭(エクステリア)をきれいしたい 2 [メンテナンス]
重ねて成長していく。それが人間というのもの。
最初は、目だないエリアでお試し。
決して失敗を恐れているわけではない。やがて成長するであろう技術に、訓練という名の栄養を与えてるだけ。人間という成長に時と要する種族なのだ。
ということで、
失敗してもいいように、風除室の横から始めることにする。
陰になってるから影響は少ない。見た目的に。
とはいえ、やることはカンタン。
砂利をすくって、ふるいにかけて、大粒を戻し、砂・土を裏に撒く。
これを、ひたすら繰り返していく。
ちなみに、地質分類では、砂とは粒径2ミリ未満の土をいう。
砂 粒径2mm~0.074mmの粒子
シルト 粒径0.074~0.005mmの粒子
粘土 粒径0.005mm以下の粒子
シルト? 馴染みのない言葉だが、粘土と砂の中間土だ。粘土に似ているが、粒度が違う。水気を帯びると指にべっとりつくのが粘土で、それほど付かないのがシルトという感じか。
2ミリ以上の土のことは礫と呼ぶ。石のことだ。自然状態では、尖った礫はその場で砕けた岩盤と見なされ、礫が丸みを帯びると水に運ばれて移動した証拠になる。ホームセンターなどで購入できる「砕石」は、採石場さ採取した岩を人為的に砕いたものだ。
フルイは、今回、目の荒いのを一つだけ用意。たぶん5ミリ。できれば「砂」は通過させたくないので、2ミリ以上のフルイ用意するのが正しい。だが、シルトも粘土も一緒くたにふるふるするのだ。素直に2ミリ以下が通過するはずがない。
1ミリとコンマ02ミリがくっつきあって、網目に詰まるのが目に見える。べつに粒度試験をするわけじゃない。無駄な時間をかけるより、バッサリあきらめるほうを選んだ。
目的は砂利なので。
シャベルですくってふるいに載せ、ふるふるする。百均店で購入した大きなアルミ容器の上で、10秒ほど揺すってサイズ砂以下のを降下。残った物体が砂利となり、そちらはもういっぽうの容器に溜める。これを何度も何度も、容器が一杯になるまで繰り返していく。
溜まった細かい粒の土は、庭のどこか。土が不足してるとこに充填。砂利は、すくった場所に戻し、砂利オンリーの犬走りを再生していく。この繰り返しだ。
細かい土がなくなるので、当然ながら、元あったボリュームは減じていく。足りなくなった分は、よそからもってくることになる。適当な川でもあれば、袋に詰めて持ってくることも考えられるが、犯罪かどうかはグレーゾーン。
河川はすべて官公庁管理下にある。国か、都道府県、市町村、自治体が管理してる。公共物なので、庭にちょっと砂利をって程度なら、問題ないらしい。
「東京都心の神田川から採取できますか?」
やれるもんならやってみてください。
「札幌中央区の豊平川から採取できますか?」
コンクリートで護岸されてます。部分的には露頭してますが、毎年数人が流されてます。危険なので近ずかないでください。
あくまでも自治体によるので、事前に問い合わせしてみること。
どんな田舎でも、重機ですくってダンプで運ぶのは違法だ。
普通はホームセンターで買うことになるが、割高だ。近くのホーマックでは10キロ520円税別。いろいろと使うので、80~100キロは見込まれる。
近所に庭屋さんや、砂利屋さんがあれば、交渉してみよう。自分は3分の1のホーマックの価格で購入できた。
外構 つまり庭(エクステリア)をきれいしたい 1 [メンテナンス]
宿願だった風除室ドアのスライドが直り、サイディングも補修。フローリングにもワックスを塗ったくり終えた。
次なる獲物は庭だ。
外構、エクステリアともいう。
もちろん、自分の技量はわきまえてる。たいしたことなどできはしない。
庭木を植え替え? 枯ららす結末が見えるようなので、無理。
サボテンを枯らし、ハエトリソウをハエを取らないただの草へ変貌させ、鉢植えカーネーションは母の日を過ぎても咲かなかった私だ。
庭をどうにかできるとか。期待できる要素は、これまでの行いをひいき目にかき集めても、欠片すらも見当たらない。
できることといえば 「現状復帰」。
とっちらかった砕石を盛り直し、ズレた縁石を真っすぐに直す。そんな当たり前の、誰でもできるという伝説の庭いじり。そんな現状回復に挑戦したいと思う。
我が家の平面構造だが、やや台形状しており、家屋の周りを砂利が囲むカタチになってる。
”犬走り”というらしい。すっきり引き締まったデザインであるだけでなく、踏めばジャリッと音がするので、泥棒除けとしても機能をもつ。面積を広げれば忍者も寄らなくなるだろう。来たことはないが。
ちなみに、これを設計に組み込んだのは義父。どろぼうに入られた過去があったという。
犬走りには、雑草が生えにくい利点があるのだが、効果は年数によって、失われていく。なぜか。土が入り込むからだ。雨や風は膣埃を運んでくる。微々たる、ものだが、年数という時間は、静かな暴力。じわじわと染みこんで、砂利のスキマを土で埋めていく。
踏んだ音は小さくなり、草は根を張っていく。冬になれば、隙間に押し込まれた雪解け水が膨張。力士にも負けないパワーで、砂利を抑え込む縁石を、土俵から押し出ていく。
美しかった新築当時の面影は、もはや、みあたらない。
草は生え放題、週末にどれほど抜いても、次の休みには、復活を迎える。
砂利の見た目も悪くなった。統一された案青色の砕石は、酸化でまばらに黒ずんで、心ばかり保っていた敷石とのコントラストが映えなくなってきてる。
前置きが長くなった。
具体的になにをするかというと、土を篩(フルイ)にかけるのだ。
粒の大きな砂利と、細かい砂・シルトに分ける。砂利はその場に戻し、足りない量を補填。余った土のほうは、裏の家庭菜園にまくか、雨で隣家や道路に流れ出たしょぼくなった部分に充填。
そんな感じで考えてる。
フローリングにワックスを 1(やりたくない) [メンテナンス]
■ フローリングにワックスを 1(やりたくない)
我家の床は、フローリングだ。
すべての部屋が、板の間なので、硬い感じが否めない。
掃除が楽だし、なんとなく衛生的。当時の流行だったことにも後押しされ、家族で反対する者は一人もいなかった。
「一室くらい、畳部屋があったもよかったないぁ」
なんて、10年後くらいに思い立ったが。遅い。
フローリングで面倒なのはワックス掛け。
かける頻度は3か月。ワックス会社と床材会社が言ってるから、間違いない。床板を保護するなら、そのくらいじゃいとイケナイらしい。
3か月といえば、各季節ごと。春夏秋冬だ。
けっこう間があるように思えるが、90日に一回と言い直してみよう。会社を自主退社したときもらえる雇用保険の最大日数だ。腰を落ち着け職探しする間もなく、次回がやってくる。
1~2年に一回という説があるが、それは、古くなったワックスを剥離する頻度。
どっちにしろ、そんなにしょっちゅうかけてる暇はない。
ワックスがけが、そんなに多いとは知らなかったのだ。
でもどうだろう?
そこまでマメにやってる人は少ないのではなかろうか、ね?
私が、はじめてワックスをかけたのは、10年ほど前。
家を建ててから、10年が経過したころになる。
嫁は「私がやっていた」と主張するが、勘違いだろう。モップもワックス剤も、自分が買うまで我が家にはなかったのだから。
コーティングが薄くなると艶がなくなり、板っぽさが強調されていく。だから、艶をみて通路や部屋をにだけでもワックスすればいい。そんな意見を知恵袋でみつけた。拍手したい。
生活している中で、床は傷んでいくものだが、ダイナミックには変化しないのだから変化の発見は困難だ。傷みや薄さに気づく人は、よほど注意力が高い。
イイワケは、これくらいに、しておこう。
ワックスはかけなきゃいけないものなのだから。
さてワックスがけだが……
……その前に、ワックスとかける目的は何かを確認しようか。
ワックスをかけるのは、床や家にいいことがあるからだ。
キズがつきにくい床は長もちするし、光沢があると部屋が明るくなる。なによりも、掃除が楽になるような気がする。
フローリング全部が、ワックスを受け入れるかというと、そもでもない。種類によっては、ワックスがけできない、しないほうがいいフローリングもある、そこは注意しよう。
無垢材は、天然の木をそのままスライスした床材だ。木そのものなので、垂らした水がそのまま浸み込む。ワックスも浸み込んでしまうので、塗るのが不可能だ。天然の木の風合いとか、変色やキズの経年ぶりを楽しめる人に許された、ぜいたくな床材なのだろう。
ノンワックスフローリングも、ワックスできない。フローリングの上にUVコート膜が加工された床材で、ノンワックスというくらいだから、塗っても上手く密着しない。
やめておこう。
塗装の前に知っておきたい 傷んだサイディング外壁を補修する方法 2 [メンテナンス]
■ サイディング補修
実をいうと、前年の秋にも、補修はしている。
だが結果はトホホ。その70%ほどが、冬の帰還に欠け落ちてしまう。
せめて一冬もてば……と願ったのだが。
前回の手順
・金ブラシで粗削り
・紙やすりで平坦仕上げ、乾燥を待つ
・紙テープでシール
・パテを貼る 乾燥を待つ
・塗装
……以上
どこが悪かったのか。その反省を込め、今回は時間をかけて調べまくった。
そうして導き出した手順がこれだ。!
・(おそらく失敗しにくい)サイディングDIY手順
1 浮いてる外壁をブラシなどで取り去る(死膜除去という)
2 紙やすりなどでキレイにする(素地研磨、調整という)
3 プライマー塗布
4 パテ処理する(壁の型に合わせて成形)
5 プライマー塗布(吸い込み止め)
・ プロはここで、パテ投入仕上げする成形し、再度プライマー塗布
6 塗装する
・ 完了
調べたサイトで披露されていた工程は、12段階。プライマーやシーラーの塗布、中塗り、中間処理などが半分以上を占めていた。何かするたび、乾燥させ防水材を塗る。そういう繰り返しだ。
外壁塗装工事には、下地補修がつきもの。それぞれの行いは意味があるのだが、そこまでできないのが、アマチュアDIY。掲載される下地補修の一部が省略されていることもあり、理解不能。素人には想像しようもなかった事情があった。
防水剤の工程を省いている。省いてるが、「プライマー塗布」という過程が2回ある。
これでいいんじゃね?
じゅーぶんに、スゲーんじゃね?
これで、昨年の失敗を補って余りある。
防水効果の高まりは、塗膜剥離の可能性を低くする。
外壁の目的は住宅の防水。窯業系サイディングに水を吸わせてはいけない。
そのためのサイディング補修だ。
水に弱い建物を紫外線や風雨から、より強く防護することができるようになった
……はずだ。
ところで。
ここでの下処理に使っているのは、プライマーだが、シーラーというのもある。
どちらも防水を狙っている溶剤だが、前者は油性で後者は水性という違いがある。
プロは、双方を使い分けしているが、そこらへんの説明をみつけられない。
はっきり言って違いがよくわからん。効果が同じなら、買いそろえなくもいいのでは?
そんなことで、浸透性の高いプライマーのほうを使用している。
次回は補修の手順
塗装の前に知っておきたい 傷んだサイディング外壁を補修する方法 1 [メンテナンス]
■ サイディングの種類
外壁材として、モテモテなサイディング。
種類には金属、モルタル、ALC、タイルなどがあり、それぞれ、10%、6%、1%、1%未満というシェアになっている。
ほかに木材系や樹脂系などもあるが、トップ人気を誇るのが、窯業系サイディング。建て主が選べるカラーとデザインが豊富なことから、じつに70%ものシェアを持つ。
金属系もデザインを増やしているので、今後は、アルミやガルバリウム鋼板などに主流が移るのかもしれない。
■ 窯業系サイディング
今回は、いま一番多い「窯業系サイディング」のDIYを説明したい。
なぜ窯業系を選んだか?
我が家の外壁が窯業系だから。
ほかの外壁を直せと言われても、できないのだ。ははは。
勝手にやってもいいが、それは「補修テロ」
手が後ろに回るのは、望むところではない。
始めに断っておくと、プロの仕事ではない。
自分で安く仕上げるため、いろいろ調べて、DIYした結果を載せている。
もし、参考にするのなら、そのあたりを了解の上で、実施していただきたい。
別の記事にもかいたが、我が家は築20年になる。
外壁は、一度、壁塗り補修をしているが、それから早10年以上が経過。壁のあちこちに、「欠け」が目立ち始めた。
ほんとうなら、目地の打ち直しや、再々塗装をする時期。リフォームを依頼したい気持ちはやまやまだが、コロナ事情のせいで失業してる身となった。
よけいな金はかけたくない、かといって、壁の傷みは待ってくれない。
そんなわけで、DIYとなった。
吊り戸車(NON工業製)の交換方法について [メンテナンス]
■ 吊り戸車(NON工業製)の交換方法について
戸車の交換ですが、それ自体は難しくありません。部品と道具さえあれば、大人の男性なら、カンタンに交換メンテができるでしょう。
問題は、重さです。
わが自宅のタイプだけなのか、風除室の扉は頑丈にできてます。
アルミ製とは思えないほど、やたら大きく重いとびらなんです。
おそらくですが、20キロ以上で30キロくらい取り外しには、パワーを要します。
そこだけは注意ですね。
部品の問い合わせは、NON工業へ直接、お願いします。北海道から東北の企業ですので、ググればすぐ見つかります (アフィリサイトです。塩は送らない!!)
■ NON工業製風除室 渋い吊り扉の修繕方法手順
・準備するもの
交換パーツ:吊り戸車(NON工業)2つ
工具 +ドライバー(細)
13ミリスパナ2丁 または、
13ミリスパナ丁 と 13ミリレンチ1丁
(友廻り対策に 2本必要)
ウエス
ネジ入れ(袋・皿なんでもよし)
脚立 背丈によるが1メートルくらいが便利
スプレー KURE5-56的なヤツ
コンベックス(測る。あるといいかも)
水平器(気分)
・作業
1 ガイドのアルミ板を外す
小さな皿ネジ4本をなくさないよう、ネジ入れに収納
2 ドアを外す
位置が決まってる。上部ガイドの切れ目に合わせて持ちあげる。
ズレを防ぐ滑車が床にある。始めに上を外し、扉をさらに持ち上げて下を外す
3 ホコリをきれいに拭き取る
4 吊り戸車を外す(2カ所)
ネジ2本で扉の高さを調整しているので、扉から何センチ飛び出しているか把握しておくこと。事前に、写真を撮っておくといい。
5 交換準備
・ワッシャー 購入した部品にはワッシャーがなかった。古い部品から付け替える。
・下部の板を外す 部品には扉側に密着する鉄板がついてる。4で外した時、扉側に残したなら、新しい部品から外して置かないと、板が2重で邪魔になる。
・クレ556 ネジ面に噴霧。間違っても車本体にはやらない。
6 取付け
2つのナットで高さを合わせながら部品を取り付ける。微妙な調整はいらないが、位置が高すぎると、床の車にかからないし、低いと床に擦って動かない。4で撮った写真が役立つ。不安ならば、ナットは緩めの”仮止め”にしておく。
7 扉を戻す
高さが合わない時は、6の取付けをやり直す。扉が軽くスライドすれば、成功。
8 アルミ板を戻す
ばんざーい!!
風除室の吊り扉がきつくなったんだが [メンテナンス]
■ 風除室の吊り扉がきつくなったんだが
住宅の玄関の外に、風よけ空間を設けることがある。風除室と呼んでるけど、玄関フードともいうらしい。ドアから入る木枯らしは、温まった暖気を運び去ってしまう。それを避ける工夫だ。
積雪期の雪囲いから発展し、建材メーカーにより製品化・販売され通年で設置されるようになったという。ウィキペディア調べだ。大きな日本家屋が玄関スペースを大きくするのと似ている。中ではなく外に造るわけだ。
寒い地方の特有なのかと思ったが、東京でも自動ドアを二重にしているデパートがある。回転扉の考えも風除室に似てる。スーパーではカート置きとして、埃や虫よけとしても活躍する。
最近、家の風除室も、とびらの開け閉めがキツくなってきた。
扉は吊りタイプの引き戸。普通は扉の底でカラカラ回る(戸車という)車が、最上部に付いていて、上部のレールに引っかけ開閉する仕組みだ。
レールが下にあると足をひっかけてつまずく。年寄りなら怪我する危険が高いからと、義父さんが施工業者に依頼した。まだ吊り扉が珍しかったころの話だから、先見性があったのだと思う。
それから20年。
最新だった扉は老朽化し、開閉が渋い。我々も高齢に差しかかり、渋くなった扉の開け閉めがツラい。こんなとき、頼りになるのが、DIYの救世主クレ556。持っていたスプレーをシュッとした。軽くなるものと期待するも、かえって開けづらくなった。
ところで、釣りドアの開閉が渋くなるのは、どうしてだろう?
■ 吊り扉の開閉を、より渋くさせた失策とは
ネットって便利だね。こういう、困ったときにはとくにそう思う。締め切った風除室にはいって、スマホで調べる。3つの理由が判明した。
理由1 老朽化
言うまでもないことだけど、どんなものでもいつか壊れる。引き戸で一番傷むのは、戸車だ。YKKaqのウェブサイトには、戸車の寿命は5年とある。吊り車でもそれは同じ。5年を過ぎたら車の部分か、部品そのものを交換するよう、メーカーはすすめてる。
理由2 故障・破損
扉やレールや戸車が破損。壊れてしまえば動かない。
理由3 不要なメンテナンス
戸車への油差し
廻りが悪くなったら油を挿す。誰でも知ってるお手入れだ。ところが戸車に関しては、悪手となる。素人メンテナンスにありがちなミスらしい。ぼくもこれにハマった。
油は車のベアリングをべたつかせる、埃が付着して、回転を封じてしまう。いっぽう車外周はは意図したように油で滑る。この連鎖で、回りにくいクルマがレール上を行き来しはじめる。回らない車は、擦れてる部分だけが摩耗する。どんどん平べったくなって、いつかは破損してしまう。
本当はベアリング部だけを回したいのに、効果は真逆。キツくなったのはこうした理由だ。キツイどころか、開かなるなるのだ。
困ったときの、クレ556。昨年振りかけたことで、扉の渋さが増した。やらしてしまった。火に油を注いだわけだ。
■ 吊り戸車 が見つからない
失策は挽回しないといけない。「開かなくなったらどう責任をとるつもり?」優しく詰問してくる家族のためにも、直さなければ。なるだけ早急に。
じつは、この段階ではまだ、扉の状態を知らなかった。吊り扉の上は、アルミ板でふさがれており、ネジ回しで外さないと、外からじゃ見ることもできない。むやみにクレ556をぶちまけいたのは、そこを面倒がった事情があった。
脚立を用意し、アルミ板を外した。
「ほう、そういうことか」
調べた吊り扉の仕組みは、案外と単純だった。
部品があれば、ぼくでも直せると確信。
パーツを取り寄せようと、Amazonを当たる。が、みつからない。それならばと、楽天を捜すが、ダメ。工具やパーツの専門モノタロウや、意外な物も取り扱う価格ドットコムにもない。YKKもリクシルもダメ。ほかにも片っ端からググったが、全滅だった。
サイトにあるドアの写真や設計図と、うちのドアとの構造が、どうにも合致しない。
検索にヒットするのは、カーテンレールのような二本のレールの真ん中に、戸車をひっかける構造が多い。メーカーによって若干異なるが、多くはプラ製でどれもきゃしゃだ。
うちの扉は2メートル以上もある。アルミ製と思えないほど頑丈で重い。戸車を支える部分は鉄製だ。上部枠を兼ねたレールに、横から引っかける構造になってる。
ネットにないなら、リアルで見つけるまで!
写真を撮ったスマホをもって、車で5分の場所にあるホーマック(ホームセンター)へと駆け込んだ。リフォームコーナーを直撃。
「と、戸車って、ないすか?」
「陳列してるのが全部です」
「欲しいのがないんです。吊り扉の戸車の取り寄せってできます? この写真です」
「うーん。見たことないですね。メーカーはわかります?」
「……わかりません」
メーカーがわからない。共通のアルミ材質で囲われてる風除室に、LOGOやシールといった、生産者を明示する表記らしいのが見当たらない。
施工業者を知ろうにも相手がいない。頼みの義父さんは他界。戸車の写真をYahoo知恵袋に投稿した。「メーカーにはあるんじゃないでしょうか。問い合わせてみては?」
そのメーカーが分からないんだよ!
■ NON工業。風除室の製造・外壁リフォーム会社
偶然というのは恐ろしい、救いの神は、折り込みチラシという姿で舞いこんだ。
いつもならすぐ紙屑にする嫁が、取っておいてくれたのだ。
「北の便利屋?」
「家まわりで困ったことを直してくれる会社みたいよ。サイディングやサッシ工事ね。」
「メーカーと違う。部品があると思えない。直せるはずない」
「なんとかしてくれるかも。電話するだけしてみれば?」
無理だろうな、という気持ち100%で、チラシの電話番号をプッシュ。
8回の呼び出し音で、年配の女性がでた。
「吊りタイプの風除室の開閉がきついんです。直せますか」
「うちでは無理ですね。戸車が回らないんでしょ?」
この返事に驚いた。そうそうその通り!
「え?わかるんですか?」
「よくあるんですよ。古い吊りドアには。戸車の車部分が減ってね。部品を取り寄せては?メーカーはわかる?」
「それが分からないんです。風除室のどこにもない。20年くらい前のものだとしか」
「20年…………そのころなら、のんこうぎょうかもしれないよ」
キター!! 初めての特大ヒント!
「のん、こうぎょう? 聞いたことないですが」
「うん。北海道の吊り風除室の先駆けでね。その頃の吊り扉はほとんどのんこうぎょう。珍しいころだったから。うん。のんこうぎょうかもね」
「まだ、あるんですか?」
「それはわからないけど。ごめんね、力になれなくて」
「いえ、スゴイヒントをもらいました」
仕事の依頼じゃいいんだ。こっちこそ申しわけない。礼を言って電話を切ると、急いて震える指を抑えつけ、検索する。あるといいな、のんこうぎょう。どんな字を書くんだ。こうぎょうは工業だろうけど。
「あっこれだ、NON工業!」
東北から北海道にまたがる会社。けっこう大きな企業だ。札幌は、東区の伏古に支社がある。車で30分ってところだ。いそいで電話する。
「吊り戸車を探してるんですが、三角形で、8センチくらいの鉄製で」
「ありますよ。うちのオリジナルです」
「く、ください! 2個。すぐください。なんなら取りに行きます」
「はは。そちらまでお持ちしますよ」
脱力して受話器をおく。驚くほどあっさりみつかった。これまでの苦労はなんだったんだろう。オレは再度、便利屋さまに電話をかけ、最敬礼でお礼を告げた。あなたは神だ。
翌日。午前10時6分。その製品は届く。オレは急いで取り付ける。
なにせ初めての作業。マニュアルなどないし、ネットのどこにも付け替え例がない。
ネジを外して付けて、高さを合わせて、新しい戸車を付けていく。
1時間以上もかかった。
新品パーツを得た吊り扉は、楽な開け閉めができるようになった。
嫁は、これまでのように、力づくで開けた。
軽くなった扉は、無抵抗でスライドした。景気よく動いて、あっと思う間もなく縁に激突。スゴイ音をたてて止まった。
さいわい、壊れるにはいたらなかったが、扉は高い。背丈より1メートル近く高い。
ガラスが割れて、頭に落ちたりすれば、ただの怪我では済まない。
軽さに慣れるまでは、しばらく時間がかかるだろう。
直さないほうが良かったじゃなかろか?