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風除室の吊り扉がきつくなったんだが [メンテナンス]




■ 風除室の吊り扉がきつくなったんだが

こんな戸車を知りませんか NON工業の吊り扉用です

住宅の玄関の外に、風よけ空間を設けることがある。風除室と呼んでるけど、玄関フードともいうらしい。ドアから入る木枯らしは、温まった暖気を運び去ってしまう。それを避ける工夫だ。

積雪期の雪囲いから発展し、建材メーカーにより製品化・販売され通年で設置されるようになったという。ウィキペディア調べだ。大きな日本家屋が玄関スペースを大きくするのと似ている。中ではなく外に造るわけだ。

寒い地方の特有なのかと思ったが、東京でも自動ドアを二重にしているデパートがある。回転扉の考えも風除室に似てる。スーパーではカート置きとして、埃や虫よけとしても活躍する。

最近、家の風除室も、とびらの開け閉めがキツくなってきた。

扉は吊りタイプの引き戸。普通は扉の底でカラカラ回る(戸車という)車が、最上部に付いていて、上部のレールに引っかけ開閉する仕組みだ。

レールが下にあると足をひっかけてつまずく。年寄りなら怪我する危険が高いからと、義父さんが施工業者に依頼した。まだ吊り扉が珍しかったころの話だから、先見性があったのだと思う。

それから20年。

最新だった扉は老朽化し、開閉が渋い。我々も高齢に差しかかり、渋くなった扉の開け閉めがツラい。こんなとき、頼りになるのが、DIYの救世主クレ556。持っていたスプレーをシュッとした。軽くなるものと期待するも、かえって開けづらくなった。

ところで、釣りドアの開閉が渋くなるのは、どうしてだろう?



■ 吊り扉の開閉を、より渋くさせた失策とは


ネットって便利だね。こういう、困ったときにはとくにそう思う。締め切った風除室にはいって、スマホで調べる。3つの理由が判明した。


理由1 老朽化
 言うまでもないことだけど、どんなものでもいつか壊れる。引き戸で一番傷むのは、戸車だ。YKKaqのウェブサイトには、戸車の寿命は5年とある。吊り車でもそれは同じ。5年を過ぎたら車の部分か、部品そのものを交換するよう、メーカーはすすめてる。

理由2 故障・破損
 扉やレールや戸車が破損。壊れてしまえば動かない。

理由3 不要なメンテナンス
 戸車への油差し

 廻りが悪くなったら油を挿す。誰でも知ってるお手入れだ。ところが戸車に関しては、悪手となる。素人メンテナンスにありがちなミスらしい。ぼくもこれにハマった。

 油は車のベアリングをべたつかせる、埃が付着して、回転を封じてしまう。いっぽう車外周はは意図したように油で滑る。この連鎖で、回りにくいクルマがレール上を行き来しはじめる。回らない車は、擦れてる部分だけが摩耗する。どんどん平べったくなって、いつかは破損してしまう。

 本当はベアリング部だけを回したいのに、効果は真逆。キツくなったのはこうした理由だ。キツイどころか、開かなるなるのだ。

 困ったときの、クレ556。昨年振りかけたことで、扉の渋さが増した。やらしてしまった。火に油を注いだわけだ。



■ 吊り戸車 が見つからない

失策は挽回しないといけない。「開かなくなったらどう責任をとるつもり?」優しく詰問してくる家族のためにも、直さなければ。なるだけ早急に。

じつは、この段階ではまだ、扉の状態を知らなかった。吊り扉の上は、アルミ板でふさがれており、ネジ回しで外さないと、外からじゃ見ることもできない。むやみにクレ556をぶちまけいたのは、そこを面倒がった事情があった。

脚立を用意し、アルミ板を外した。

「ほう、そういうことか」

調べた吊り扉の仕組みは、案外と単純だった。
部品があれば、ぼくでも直せると確信。

パーツを取り寄せようと、Amazonを当たる。が、みつからない。それならばと、楽天を捜すが、ダメ。工具やパーツの専門モノタロウや、意外な物も取り扱う価格ドットコムにもない。YKKもリクシルもダメ。ほかにも片っ端からググったが、全滅だった。

サイトにあるドアの写真や設計図と、うちのドアとの構造が、どうにも合致しない。
検索にヒットするのは、カーテンレールのような二本のレールの真ん中に、戸車をひっかける構造が多い。メーカーによって若干異なるが、多くはプラ製でどれもきゃしゃだ。

うちの扉は2メートル以上もある。アルミ製と思えないほど頑丈で重い。戸車を支える部分は鉄製だ。上部枠を兼ねたレールに、横から引っかける構造になってる。

ネットにないなら、リアルで見つけるまで!

写真を撮ったスマホをもって、車で5分の場所にあるホーマック(ホームセンター)へと駆け込んだ。リフォームコーナーを直撃。

「と、戸車って、ないすか?」
「陳列してるのが全部です」
「欲しいのがないんです。吊り扉の戸車の取り寄せってできます? この写真です」
「うーん。見たことないですね。メーカーはわかります?」
「……わかりません」

メーカーがわからない。共通のアルミ材質で囲われてる風除室に、LOGOやシールといった、生産者を明示する表記らしいのが見当たらない。
施工業者を知ろうにも相手がいない。頼みの義父さんは他界。戸車の写真をYahoo知恵袋に投稿した。「メーカーにはあるんじゃないでしょうか。問い合わせてみては?」

そのメーカーが分からないんだよ!


■ NON工業。風除室の製造・外壁リフォーム会社

偶然というのは恐ろしい、救いの神は、折り込みチラシという姿で舞いこんだ。
いつもならすぐ紙屑にする嫁が、取っておいてくれたのだ。

「北の便利屋?」
「家まわりで困ったことを直してくれる会社みたいよ。サイディングやサッシ工事ね。」
「メーカーと違う。部品があると思えない。直せるはずない」
「なんとかしてくれるかも。電話するだけしてみれば?」

無理だろうな、という気持ち100%で、チラシの電話番号をプッシュ。
8回の呼び出し音で、年配の女性がでた。

「吊りタイプの風除室の開閉がきついんです。直せますか」
「うちでは無理ですね。戸車が回らないんでしょ?」

この返事に驚いた。そうそうその通り!

「え?わかるんですか?」
「よくあるんですよ。古い吊りドアには。戸車の車部分が減ってね。部品を取り寄せては?メーカーはわかる?」
「それが分からないんです。風除室のどこにもない。20年くらい前のものだとしか」
「20年…………そのころなら、のんこうぎょうかもしれないよ」

キター!! 初めての特大ヒント!

「のん、こうぎょう? 聞いたことないですが」
「うん。北海道の吊り風除室の先駆けでね。その頃の吊り扉はほとんどのんこうぎょう。珍しいころだったから。うん。のんこうぎょうかもね」
「まだ、あるんですか?」
「それはわからないけど。ごめんね、力になれなくて」
「いえ、スゴイヒントをもらいました」

仕事の依頼じゃいいんだ。こっちこそ申しわけない。礼を言って電話を切ると、急いて震える指を抑えつけ、検索する。あるといいな、のんこうぎょう。どんな字を書くんだ。こうぎょうは工業だろうけど。

「あっこれだ、NON工業!」

東北から北海道にまたがる会社。けっこう大きな企業だ。札幌は、東区の伏古に支社がある。車で30分ってところだ。いそいで電話する。

「吊り戸車を探してるんですが、三角形で、8センチくらいの鉄製で」
「ありますよ。うちのオリジナルです」
「く、ください! 2個。すぐください。なんなら取りに行きます」
「はは。そちらまでお持ちしますよ」

脱力して受話器をおく。驚くほどあっさりみつかった。これまでの苦労はなんだったんだろう。オレは再度、便利屋さまに電話をかけ、最敬礼でお礼を告げた。あなたは神だ。



翌日。午前10時6分。その製品は届く。オレは急いで取り付ける。
なにせ初めての作業。マニュアルなどないし、ネットのどこにも付け替え例がない。
ネジを外して付けて、高さを合わせて、新しい戸車を付けていく。
1時間以上もかかった。
新品パーツを得た吊り扉は、楽な開け閉めができるようになった。

嫁は、これまでのように、力づくで開けた。
軽くなった扉は、無抵抗でスライドした。景気よく動いて、あっと思う間もなく縁に激突。スゴイ音をたてて止まった。

さいわい、壊れるにはいたらなかったが、扉は高い。背丈より1メートル近く高い。
ガラスが割れて、頭に落ちたりすれば、ただの怪我では済まない。

軽さに慣れるまでは、しばらく時間がかかるだろう。
直さないほうが良かったじゃなかろか?


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